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7月10日(土曜日)、江戸時代から行われている虫送り神事「サバー送り」が東深川の飯山八幡宮で行われました。
サバー送りでは、「サバーサマ」、「サネモリサマ」と呼ばれる2体のわら人形を飯山八幡宮から下関市まで送り継ぎます。「サバーサマ」は、稲の害虫ウンカが神格化したもので、「サネモリサマ」は源平合戦で討ち死にした斎藤実盛を指すといわれています。住民がリレー方式で地域外に送り出していくことで、稲の害虫を追い払うもので、県の無形民俗文化財に登録されています。
昨年は長門市、美祢市、下関市の山口県西部でトビイロウンカが大発生し、水田栽培にかつてない大規模な被害をもたらしました。今年こそはウンカの被害を出さないよう願いを込め、、6月26日に藤中地区の有志でわら人形の製作が行われました。人形には和紙に描かれた顔と神の兜、陣羽織、竹で作られた刀が添えられます。
飯山八幡宮で神事が行われた後、今年の引き受け地区である江良地区の役員により抱えられ、西深川境川方面に向けて出発しました。境川に到着するとサバーサマ、サネモリサマのお弁当である「オゴク」を自治会の人に手渡しました。その後、日置の長崎地区にある線路下のトンネル内にサバーサマとサネモリサマを運びました。
江良農事組合の中村栄次さんは、「地域の行事を無事終えることができて、ほっとしています。ウンカにより米が収穫できなることは農家にとってさみしい。この神事を行ったことにより、今年度の被害を少なくなればと願っています」と話しました。
また、飯山八幡宮の上田久充宮司は「今、田の稲が青く色づき、育っているところです。何よりもこのままウンカがつかずに豊作になることを祈っています。わらの確保など課題もあるが、今後も継承していきたい」と願いを込めました。
わら人形は長崎地区から黄波戸、古市、油谷久富、人丸、河原、伊上を経て下関市豊北町粟野まで運ばれます。最後はぼろぼろになった時点で燃やされたり、「サバーサマ、カラヘイケ」と唱えて海に流されたりすると言われています。