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8月10日(水)、下関市の西市公民館で、木屋川ダム再開発事業に係る基本協定調印式が開催されました。
木屋川ダムは下関市の豊田湖にあり、洪水調節や水の補給、発電の機能をもったダムとして昭和30年に完成しました。これまで木屋川周辺の地域の浸水被害の軽減の役割を担ってきましたが、大雨のときなどに浸水被害が発生したこともありました。
この木屋川ダム再開発事業では、浸水被害の軽減と流水の正常な機能を維持することを目的に、既存ダムを10m嵩(かさ)上げすることが計画されています。
調印式に参加したのは、山口県知事代理の県土木建築部長、下関市と長門市の地権者協議会(事業に伴い水没する土地などの権利者で組織する団体)、立会人の下関市長と長門市長、地元や行政関係者ら約30人。
この基本協定は木屋川ダム再開発事業の着手にあたり、両市長立会いのもと、各地権者協議会と県が、適正な補償の確保と事業の円滑な遂行を図ることを相互に確認することを目的として締結されます。
はじめに、県と下関市の関係者が調印し、続いて県と長門市の関係者が調印を行いました。
基本協定の締結を受けて、山口県知事代理の県土木建築部長 和田卓さんが「両市長立会いのもと、基本協定を締結することができ、関係者の皆様のご理解とご協力に感謝申し上げます。今後も両市の協力を得ながら、再開発事業の着実な推進にあたり、本協定の趣旨に基づき、両協議会の皆様に誠意をもって対応してまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします」と知事のメッセージを代読しました。
下関市の三豊地区地権者協議会会長の増野憲友さんは「三豊小学校に入学したのがダムの完成する年でした。大雨が降って校舎が水に浸かっていたこと、家を移転して橋の上から捨てゆくまちなみを眺めたことなど、さまざまな思い出があります。私にとって愛着のある豊田湖でありますが、会員の皆さんの中には、十分な補償が受けられなかった人や地域がさびれてしまい良くない思いをしている人など、不満をため込んでいる方がいらっしゃいます。こうした地権者の思いを理解し、各種要望に対して誠意をもって対応していただくことをお願い申し上げます」と話しました。
長門市の俵山地区地権者協議会会長の中原純二さんは「昭和48年にダムの嵩上げ計画の話があり、当初は上流に住む住民にとってはこの事業が必要かどうかという視点から納得がいかず、反対していました。その後、国の事業見直しによりいったん計画が中止となり、正直ほっとしていましたが、再度計画が浮上して20年以上が経過する中で、下流の人たちの生活を洪水から守るために事業に協力しようと話し合ってきました。同時に、ダム工事の上流部は住み慣れた家の転居を余儀なくされ地域コミュニティも崩壊すると聞いていましたので、マイナスになることがないように意見を出し合ってさまざまな要望も考えてきました。移転を余儀なくされる方や土地の所有者が困らないよう、生活再建のために十二分な対応を、そして上流地区にさまざまな整備が進められますよう、丁寧な対応を県と市にお願いしたいと思います」と話しました。
その後、調印に立ち会った前田市長と長門市長があいさつし、それぞれの市長が「地元の行政として、事業の着手にあたり地権者をはじめ地元に対して誠意をもって丁寧に対応していくことをお誓い申し上げます」と述べました。
最後に関係者が記念撮影を行い、調印式は終了しました。