本文
矢崎節夫館長コラム「さよなら」2024年12月1日
さよなら
降りる子は海に、
乗る子は山に。
船はさんばしに、
さんばしは船に。
鐘の音は鐘に、
けむりは町に。
町は昼間に、
夕日は空に。
私もしましょ、
さよならしましょ。
きょうの私に
さよならしましょ。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
先月中国から一人で来られた青年が、呉菲さんの中国語版の全集を読んで、仙崎に来たいと思って、ようやく来れましたとにこにこされていました。
今年も、一年に、カレンダーに、「さよなら」をする季節になりましたが、うれしい出合いがたくさんありました。
みすゞさんの詩に作曲され自ら歌ってくださるちひろさんは、全国にみすゞさんを手渡してくださっていますし、東京では落語みすゞ亭がひらかれ、講談でもお二人の方がみすゞ伝を語ってくださっています。
又、先日は日本相撲甚句会の羽黒郷龍太朗さんが『星とたんぽぽ』を甚句にして歌ってくださいました。
多くの人に支えられてみすゞさんは倖せな一年だったと思います。
「さよなら」は「又、会えたね」を連れてきます。今年一年ありがとうございます。
来年が良い一年でありますよう念じます。
令和6年12月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫