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矢崎節夫館長コラム 「蛙」 2023年6月1日

ページID:0047558 更新日:2023年6月1日更新 印刷用ページを表示する

憎まれっ子、
憎まれっ子、
いつでも、かつでも、誰からも。

雨が降らなきゃ、草たちが、
「なんだ、蛙め、なまけて。」と、
それをおいらが知る事か。

雨が降り出しゃ子供らが、
「あいつ、鳴くから降るんだ。」と、
みんなで石をぶっつける。

それがかなしさ、口おしさ、
今度は降れ、降れ、降れ、となく。

なけばからりと晴れあがり、
馬鹿にしたよな、虹が出る。

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 富山県上市町の西田美術館で開催された北陸初の金子みすゞ展も無事に終わり、過去最多の入館者をお迎えできました。西田美術館のみなさんに心よりお礼申し上げます。
 我が家の近くの公園の池のあさせには、おたまじゃくしが元気に泳ぎ、日々変化する様子は生命の力を感じます。
 みすゞさんにも、とてもカラッとした明るい『蛙』のうたがあります。
 この作品は第三巻『さみしい王女』の中の最後から四番目に載っていて、△直してよくなったら入れると印がついているのですが、どのように直したか、西條八十は読むことが出来たのかは分かりませんが、晩年に体調をくずしているみすゞさんですが、それでも前向きに凛としている姿が浮んできます。
 生かされているいのちとは、思い通りにならない世界を生きているということだといいます。なおのこと凛として生きていきたいですね。

 

令和5年6月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


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