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矢崎節夫館長コラム 「おはじき」 2021年10月1日

ページID:0037184 更新日:2021年10月1日更新 印刷用ページを表示する

おはじき

 

空いっぱいのお星さま、

きれいな、きれいな、おはじきよ。

 

ぱらり、とおはじき、撒きました、

どれから、取ってゆきましょか。

 

あの星

はじいて

こう当てて、

あれから

あの星

こう取って。

 

取っても取っても、なくならぬ、

空のおはじき、お星さま。

 

 

                                      「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 

 

 

 10月になると空がぐうんと高くなる気がして、思わず深呼吸したくなります。高く思えるのは上空の高い所にできる雲が多いからで、その分、青空が見えやすいのだそうです。

 どこにいても、どんなに離れていても、誰の上にも同じ空があると思えると、なんだか嬉しくなります。

 暗くなるのが早くなると、記念館から帰る時に、見上げると満天の星空に変わっていて、びっくりすることがあります。みすゞさんの時代にも、もっと多かったでしょう。

 この一瞬の変化をみすゞさんは『おはじき』の中で“ぱらり、とおはじき、撒きました、”と表現しているところが見事です。みすゞさんは生まれながらの詩人だったのですね。

 まだまだ不自由な日が続きますが、下を向かずに、秋の夜空を見上げてください。きっとみなさんの心にも、青空や美しい星空が広がって元気がでてきますから。

 記念館は今日も明るく開館しています。

 

 

                                      令和3年10月1日

                                      金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 

 


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