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矢崎節夫館長コラム 「草山」 2019年4月1日

ページID:0026368 更新日:2019年4月1日更新 印刷用ページを表示する

草山

草山の草のなかからきいてると、

いろんなたのしい声がする。

 

「きょうで七日も雨ふらぬ、

のどがかわいた、水欲しい。」

それはお山の黒い土。

 

「空にきれいな雲がある、

お手々ひろげて掴もうか。」

それはちいさな蕨だろ。

 

「お日さまお呼びだ、のぞこうか。」

「わたしも、わたしも、ついて行こ。」

茱萸の芽、芝の芽、茅萱の葉、

いろんなはしゃいだ声がする。

 

         「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 みすゞさんの「草山」を読むと、寒さ越え 山笑うという言葉を思います。

 笑うのは山ばかりでなく、街中がはなやいだ、明るい声がきこえる4月です。

 幼い人から大人まで、新しい場所で、新しい自分に出会える、ぴかぴかの4月です。新しい場所が自分に合うかどうか不安なこともあるでしょうが、「おはようございます」と笑顔であいさつするだけでも、思いがけず、うれしい一日を過ごすことができるものです。

 どうぞよい4月をお過ごしください。

 金子みすゞ記念館は4月11日で、17年目に入ります。又、4月11日はみすゞさんの誕生日でもあります。

 今年はこの日を記念して、金子みすゞさんの甦りの原点である、三冊の手帳の実物を一日だけ、特別展示をすることになりました。みすゞさんが512編を書き写し、弟の上山雅輔さんに託した手帳です。

 是非、手帳に逢いにおでかけください。

 

平成31年4月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫


記念館職員の日記