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矢崎節夫館長コラム 「世界中の王様」 30年12月1日
世界中の王様
世界中の王様をよせて、
「お天気ですよ。」と云ってあげよう。
王様の御殿はひろいから、
どの王様も知らないだろう。
こんなお空を知らないだろう。
世界中の王様をよせて
そのまた王様になったのよりか、
もっと、ずっと、うれしいだろう。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
12月は童話のような「世界中の王様」です。
大きなお城に住んでいる王様は、お城の中がこの世の全てだと思って、一度もお城の外を眺めたことがなかったかもしれません。
そこに「お天気ですよ」と、かわいい小さい女の子の声がして、あわてて窓を開けると、空は青くてぽっかりと白い雲がうかび、芝生が広がり、花々が咲きほこり、はるか向こうには緑の森が続いています。
「ああ、こんな美しい世界が私のまわりにはあったんだ!」
自分が全てを知っていると思っていた王様は、倖せな気持ちと共に、自分がちょっと恥かしかったかもしれません。
ひと言で、人も自分も倖せになれるなんて、言葉ってすごいですね。
なにかと気ぜわしい12月、「お天気ですよ」と同じように、うれしい言葉を大切なまわりの人に使える人でありたいと思います。
どうぞよい年の暮れをお過ごしください。
平成30年12月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫