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矢崎節夫館長コラム 「山と空」 30年3月1日
山と空
もしもお山が硝子だったら、
私も東京が見られましょうに。
――お汽車で
行った、
兄さんのように。
もしもお空が硝子だったら、
私も神さまが見られましょうに。
――天使に
なった
妹のように。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
「もしもお山が硝子だったら、」「もしもお空が硝子だったら、」とみすゞさんは歌っていますが、私たちの生きている社会も、一枚の硝子なのかもしれません。
氷は溶ける温度、融点は一つですが、硝子は同じ一枚の中で、溶ける融点が違うのです。それこそ「みんなちがって、みんないい。」融点を持っているのです。
このことを忘れて、自分の持っている温度のまま、話したり、行動すると、相手の分かる温度にとどいたり、とどかなくなったりするのです。相手の分かる温度、融点に応じて、自分の温度を変えることが大事なのですね。
会社も、学校も、家庭も、一枚の硝子です。大切に、大切に磨けば磨くほど、美しく輝いてくれる硝子です。乱暴に磨いて割らないように、一人一人の融点にしっかりと佇みたいと思います。
年度末の三月、どうぞ充分にご自愛下さって、よい三月をお過ごしください。
平成30年3月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫