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矢崎節夫館長コラム 「転校生」 28年4月1日
転校生
よそから来た子は
かわいい子、
どうすりゃ、おつれに
なれよかな。
おひるやすみに
みていたら、
その子は桜に
もたれてた。
よそから来た子は
よそ言葉、
どんな言葉で
はなそかな。
かえりの路で
ふと見たら、
その子はお連れが
出来ていた。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
4月になりました。学校では新入生、進級、転校生との出合い、職場では新人がふえたり、課が変わったりと、新しい出発の月です。
3月とは違うふんいきで、ちょっと緊張するかもしれませんが、そんな時は、この誌を声に出して読んでみてください。
さて、あなたは声をかけられる転校生の立場ですか、声をかけるみすゞさんの方ですか。転校生の立場なら、自分は一人ぼっちと思わずに、誰かが声をかけようと自分のことを思ってくれていると思えば、ちぢんだ心がほっと温かくなりますね。声をかける方なら、いえ、かけられる方でも、「おはようございます」と、にこやかにまわりの人に声をだせばまわりはぱっと明るくなります。
してもらえる自分もうれしいですが、してあげられる自分は、もっとうれしいものです。
4月はうれしい自分に出合えて、育てる季節。
4月11日で記念館は14年目に入ります。みんなで大切に育てていきたいと思います。
平成28年4月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫