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矢崎節夫館長コラム「早春」2026年1月1日
早春
飛んで来た
毬が、
あとから子供。
浮いている
凧が、
海から汽笛。
飛んで来た
春が、
きょうの空 青さ。
浮いている
こころ、
遠い月 白さ。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
新年おめでとうございます。
暮れにほっこりとした言葉と行為に出会いました。
延岡のホームで特急を待っていましたら、乗車口の印の近くに老婦人がいて、しばらくすると中年の男性がやってきて、印の所にきちんと立ちました。老婦人はいつの間にか印より少し離れて立ち、その二人の様子をおだやかな自然に囲まれたホームの後ろで、私は見ていました。
やがて特急列車が入って来て止まると、男性は婦人に「あなたが先に来て待っておられたのですから、どうぞ先に乗ってください」と声をかけました。一瞬婦人ははっと顔を上げ、それから頭を下げて列車に乗り、男性が続き、私も続きながら
――こんな声がけが出来る方がいるんだなぁと、みすゞさんの『早春』の春が飛んで来たようで、ほっこり倖せになりました。
皆様にとってよい一年でありますように。
令和8年1月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫




