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矢崎節夫館長コラム「雨あがり」2025年6月1日

ページID:0060474 更新日:2025年6月1日更新 印刷用ページを表示する

雨あがり

一ばんさきにみつけたは、
ちいさなはこべの花でした。
「あれあれ、あすこにお日いさま。」

雲のかげからお日いさま、
ちょいと、目ばかり出してます。

どの木も、どの木も、枝ならし、
どの葉も、どの葉も、うれしげに。

「おおお、お日さま、お久しゅう、
ずいぶんみんなは待ちました。」

雲のかげからお日いさま、
いたずらそうに、笑ってる。

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 六月は五月のように暑すぎたりしないで、天候が落ちついて、雨も降りすぎない程度に、降ってくれるといいなと思います。
 六月に降る雨を梅雨というのは、ちょうど梅の実が熟する時期と重なるからという説があるそうです。それなら梅酒の梅をかりかり食べる時に、天から降ってきた恵みの雨がいっぱい入っているんだと思ってかじると、今まで以上に美味しくなるような気がします。
 みすゞさんの『雨あがり』を読むと、“どの木も、/どの木も、/枝ならし、/どの葉も、どの葉も、うれしげに。”と声に出すだけで、雨あがりのうれしさがこちらのからだの中にまで、こだましてきて、とてもうれしい気持ちになります。
 それだけではなく、雨も降ってきて、又、循環して空に昇っていくのですから、この循環の中に、大切な人の涙もきっと入っているのでしょう。そう思うと、今月の雨も楽しみの一つになります。

​令和7年6月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 

 


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