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矢崎節夫館長コラム「月日貝」2025年2月1日
月日貝
西のお空は
あかね色、
あかいお日さま
海のなか。
東のお空
真珠いろ、
まるい、黄色い
お月さま。
日ぐれに落ちた
お日さまと、
夜あけに沈む
お月さま、
逢うたは深い
海の底。
ある日
漁夫にひろわれた、
赤とうす黄の
月日貝。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
金子みすゞは明治36年生まれ、その2年後の38年に、「犬のおまわりさん」の佐藤義美、「ことりのうた」の与田凖一、「たきび」の巽聖歌が、又、その4年後に「ぞうさん」のまど・みちおが生まれ、戦後の日本の童謡を大きく動かした詩人たちが、ほぼ同時期に生まれたことは、特筆すべきことでしょう。
佐藤義美は私の師ですが、金子みすゞの作品に注目して、大正14年の童謡同人誌『曼珠沙華』にみすゞを誘っています。
みすゞさんはここに『月日貝』を寄せ、同じ頁の下の段に、義美さんは『親なし児』という作品を載せています。この作品は佐藤義美全集には載っていませんが、30人もの同人の中で、同じ頁に自分の作品を載せたということで、どれだけみすゞさんへのあこがれがあったかがわかります。
今年1月に、佐藤義美生誕120周年が大分県竹田市で行われました。与田さん・巽さんのふるさとでもと思うと、ワクワクします。
令和7年2月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫