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矢崎節夫館長コラム「花のお使い」2024年11月1日

ページID:0056314 更新日:2024年11月1日更新 印刷用ページを表示する

花のお使い

白菊、黄菊、
雪のような白い菊。
月のような黄菊。

たあれも、誰も、みてる、
私と、花を。
(菊は、きィれい、
私は菊を持ってる、
だから、私はきィれい。)

叔母さん家は遠いけど、
秋で、日和で、いいな。
花のお使い、いいな。

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 『花のお使い』を声に出して読むと、心がつかれた時でも、からだの中にあたたかい灯がぽっとついたような、うれしく、やさしい気持ちになります。
 “(菊は、きィれい、/私は菊を持ってる、/だから、私はきィれい。)”
 本当にそうだね!と、思わず拍手をしたくなるような三段論法を、小さい女の子がいっているのが、なんともほほえましいですね。
 “秋で、日和で、いいな。”
 秋日和といわないで、一言、一言わけてくれたことで、いいなという言葉が深く心にとどきます。
 みすゞさんの童謡の一番優れているところは、作品が絵になって読む人のこころに見えるところでしょう。
 今年もあと二ヵ月、寒さに向かいますが、みなさまのおこころが、あたたかな日和でありますように、金子みすゞ記念館館員一同、心から願っています。

 

令和6年11月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 

 


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