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矢崎節夫館長コラム 「空の鯉」 2024年5月1日

ページID:0052994 更新日:2024年5月1日更新 印刷用ページを表示する

空の鯉

お池の鯉よ、なぜ跳ねる。

あの青空を泳いでる、
大きな鯉になりたいか。

大きな鯉は、今日ばかり、
明日はおろして、しまわれる。

はかない事をのぞむより、
跳ねて、あがって、ふりかえれ。

おまえの池の水底に、
あれはお空のうろこ雲。

おまえも雲の上をゆく、
空の鯉だよ、知らないか。

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 5月が近づくとつい、“お池の鯉よ、なぜ跳ねる。”と、口ずさんでいる自分がいます。
 それほどこの作品は、五月晴れのさわやかな空を見上げて口ずさむと、元気がでて、素直な気持ちになれます。
 “はかない事をのぞむより、/跳ねて、あがって、ふりかえれ。”とうたい“おまえも雲の上をゆく、/空の鯉だよ、知らないか。”とうたう『空の鯉』は、みすゞさんが私たちにくれた応援歌といってもいいでしょう。
 みすゞさんの作品を読むと、「あなたはあなたでいい」といってくれているようで、つい「自分なんて」と消極的になったり、自信を失ったりする時に、心を支えてくれます。
 みすゞさんの時代には、王司山から見える仙崎の町には、きっとたくさんの鯉のぼりが泳いでたことでしょう。
 今年も燕が帰ってきました。燕のあかちゃんの元気な鳴き声ももうすぐでしょう。
 仙崎にどうぞおでかけください。

 

 

令和6年5月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


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