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矢崎節夫館長コラム 「白い帽子」 2023年1月1日
白い帽子
白い帽子、
あったかい帽子、
惜しい帽子。
でも、もういいの、
失くしたものは、
失くしたものよ。
けれど、帽子よ、
お願いだから、
溝やなんぞに落ちないで、
どこぞの、高い木の枝に、
ちょいとしなよくかかってね、
私みたいに、不器っちょで、
よう巣をかけぬかわいそな鳥の、
あったかい、いい巣になっておやり。
白い帽子、
毛糸の帽子。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
新年明けましておめでとうございます。
今年は記念館開館20年の記念すべき年です。
そして、金子みすゞさん生誕120周年の大変うれしい年でもあります。
3月10日の命日と、4月11日の誕生日の間の4月1日(土)、2日(日)と、3年ぶりに全国の交流会が長門市で行われます。2日の午後はお祝いの会として「ルネッサながと」で、ちひろさんの歌や神田京子さんの講談みすゞ伝、呉菲さんの中国語訳の朗読、みすゞ合唱団の歌など、もりたくさんの公演が行われます。
『白い帽子』を読むと、今年という白い帽子が、どんな楽しいことに出会うかワクワクしてきます。
昨年までの残念なことは「失くしたものは、/失くしたものよ。」と、カラっと忘れて、新しい1年を前向きに過ごしていきましょう。
どの1日も、2度とない1日なのですから。
門松もでき、館員一同心新たにみなさまをお待ちしております。
令和5年1月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫