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矢崎節夫館長コラム 「さよなら」 2022年12月1日

ページID:0043137 更新日:2022年12月1日更新 印刷用ページを表示する

さよなら

降りる子は海に、

乗る子は山に。

 

船はさんばしに、

さんばしは船に。

 

鐘の音は鐘に、

けむりは町に。

 

町は昼間に、

夕日は空に。

 

私もしましょ、

さよならしましょ。

 

きょうの私に

さよならしましょ。

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 12月は1年の最後の月です。1年にさよならする月です。そこで今月は『さよなら』です。

 最初の2連は振り返っていっている「さよなら」ですが、3連からは目に見えない音、目には見えても消えていく煙と、視点を広げて、“町は昼間に、/夕日は空に。”と俯瞰していくところが、じつに見事です。

 そして最後の2連は“私もしましょ、/さよならしましょ。//きょうの私に/さよならしましょ。”と、一度きりの今日の私に「さよなら」するのです。

 この一度きりの今日の私ときちんと思えたから、自分だけでなく、まわりの全ての存在を大切に思えたのですね。

 1年の終りの1カ月を大切に過ごし、みすゞさん生誕120周年の来年を明るく迎えたいと館員一同心から願っております。

 寒さが厳しくなります。みなさんどうぞくれぐれもご自愛下さって、良い年越しを!!
   

令和4年12月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


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