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矢崎節夫館長コラム 「雨あがり」 2022年6月1日

ページID:0040484 更新日:2022年6月1日更新 印刷用ページを表示する

雨あがり

一ばんさきにみつけたは、

ちいさなはこべの花でした。

「あれあれ、あすこにお日いさま。」

 

雲のかげからお日いさま、

ちょいと、目ばかり出してます。

 

どの木も、どの木も、枝ならし、

どの葉も、どの葉も、うれしげに。

 

「おおお、お日さま、お久しゅう、

ずいぶんみんなは待ちました。」

 

雲のかげからお日いさま、

いたずらそうに、笑ってる。

 

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 

 雨の季節になりました。長雨や豪雨の被害は困まりますが、雨には雨のよさもあります。

 緑の葉の匂いが強く感じたり、なによりも雨は雨あがりという連れをつれてくるのですから、うれしいですね。

 みすゞさんの『雨あがり』は第1童謡集『美しい町』に入っていますが、童謡の大切なところは言葉で絵を書くということですが、童謡を書き始めた時から、みすゞさんは誰に教わることなく、それが身についていたことに驚かされます。

 空のお日いさまを最初に見っけたのが、小さなはこべの花だったり、“雲のかげからお日いさま、/ちょいと、目ばかり出してます。”と、ゆかいな表現をしたり、みすゞさんは童謡を書くために生まれたんだなぁと思いたくなります。

 雨の日も、晴れの日も、みすゞさんが見上げた空や、眺めた海を見に、どうぞ仙崎にお越し下さい。みんなでお待ちしています。

   

令和4年6月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


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