ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 金子みすゞ記念館 > 記念館メニュー > コラム > 矢崎節夫館長コラム 「不思議」 2022年5月1日

本文

矢崎節夫館長コラム 「不思議」 2022年5月1日

ページID:0040028 更新日:2022年5月1日更新 印刷用ページを表示する

不思議

 

私は不思議でたまらない、

黒い雲からふる雨が、

銀にひかっていることが。

 

私は不思議でたまらない、

青い桑の葉たべている、

蚕が白くなることが。

 

私は不思議でたまらない、

たれもいじらぬ夕顔が、

ひとりでぱらりと開くのが。

 

私は不思議でたまらない、

誰にきいても笑ってて、

あたりまえだ、ということが。

 

                                  「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 

  みすゞさんの作品のすばらしさは、いつも今に向かえあえることです。

 『不思議』を読むと、あたり前と思えることがあたり前に行なわれていることが、じつは本当にすごいことに気づけます。

 21世紀になってあたり前どころか、ありえないと考えていた行為が一人の狂気によってウクライナの人々の身におこっています。

 一秒でもはやくこの悲惨な状況が終わることを願うばかりです。

 今、ウクライナで行なわれていることは、他人ごとと思わずに、代受苦者(本当は私が受けたかもしれない苦しみを代わりに受けてくださった人)と深く自分に戻し、空を見上げたら、同じ空の下でこの空を見上げられない人々がいることをきちんと考えられる自分でいたいです。子どもたちのためのわずかな募金活動にも協力したいと強く思います。

 記念館はみなさんのホッとしてもらえる場所として、今日も皆様をお待ちしています。
 

  

                                    令和4年5月1日

                                    金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


記念館職員の日記