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矢崎節夫館長コラム 「葉っぱの赤ちゃん」 2022年3月1日
葉っぱの赤ちゃん
「ねんねなさい」は
月の役。
そっと光を着せかけて、
だまってうたうねんね唄。
「起っきなさい」は
風の役。
東の空のしらむころ、
ゆすっておめめさまさせる。
昼のお守りは
小鳥たち。
みんなで唄をうたったり、
枝にかくれて、また出たり。
ちいさな
葉っぱの赤ちゃんは、
おっぱいのんでねんねして、
ねんねした間にふとります。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
作品は作者の心柄が見えますし、作品に対する読み方で、読者の心柄も見えます。そう思うと、大事に作品を読みたいと思います。
みすゞさんがどんなに赤ちゃんで心をいっぱいにしたお母さんであったかは、『葉っぱの赤ちゃん』が″「ねんねなさい」は/月の役″と、ねんね唄で始まっていることでわかります。
お母さんが最愛の赤ちゃんに最初にかける言葉は、「かわいいね」「いい子だね」と、ねんね唄なのです。みすゞさんがねんね唄でこの作品を始めていることに感動します。
一枚の葉っぱの赤ちゃんも、宇宙全体で育てられているのですね。もちろん、私たち人間も同じです。生かされている私という意味がよくわかります。
コロナが少しでも落ち着く3月であることを、館員一同心から願っています。
金子みすゞ記念館は、今日もあかるい気持ちで開館しております。
令和4年3月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫