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矢崎節夫館長コラム 「さよなら」 2022年2月1日

ページID:0038798 更新日:2022年2月1日更新 印刷用ページを表示する

さよなら

 

降りる子は海に、

乗る子は山に。

 

船はさんばしに、

さんばしは船に。

 

鐘の音は鐘に、

けむりは町に。

 

町は昼間に、

夕日は空に。

 

私もしましょ、

さよならしましょ。

 

きょうの私に

さよならしましょ。

 

 

 

 

 

                                 「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 

 

 

 

 コロナの急速な広がりのため、今月も又、記念館に帰れなくなりました。一日もはやくコロナにさよならしたい願いを込めて、今月は「さよなら」です。

 目で活字を追うだけでは、この作品は見えてきません。是非声に出して読んでください。見事な絵になって情景が浮んできます。

 降りる子と船のさよならから、゛鐘の音は鐘に、/けむりは町に。″と目に見えるものから目に見えないものにまなざしを向けるところがすごいですね。さらに゛町は昼間に、/夕日は空に。″と視点を広げていきます。

 そして最後は、きちんと私にもどすのです。一度きりの今日の私 ― みすゞさんの大切なテーマです。

 日めくりカレンダーは一枚めくる度に、一度きりの今日の私にさよならをする、尊い行為だったことを改めて思います。

 心がおだやかな、あかるくなるみすゞさんに逢いに、是非記念館におでかけください。

 

 

 

 

 

                                    令和4年2月1日

                                    金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


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