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矢崎節夫館長コラム 「雲のこども」 2021年8月1日

ページID:0036463 更新日:2021年8月1日更新 印刷用ページを表示する

雲のこども

 

風の子供のいるとこに、
波の子供はあそびます。

波の大人のいるとこにゃ、
風も大人がいるのです。

だのに、お空を旅してる、
雲のこどもはかわいそう。

大人の風につれられて、
いきをきらしてついてゆく。

 

 

                                      「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 

 

 子どもたちが「助けて」といえなくなって、心の中を言葉に出せずに崩壊しているという話を心理学者から聞いた時、みすゞさんの『雲のこども』を思い出しました。
 私たち大人のいのちを未来に運んでくれる、大切な子どもたちが“いきをきらしてついてゆく。”のであれば、原因は私たち大人にあります。自分に戻して考えると、「助けて」という言葉を全く使ってなかったなと、改めて驚きました。
 「ごはんの支度、手伝って」を「ごはんの支度、助けて」に、「これ一人じゃ出来ないから、お願い」を「これ一人じゃ出来ないから、助けて」に、言葉をちょっと変えるだけで、「助けて」という言葉が子どもたちの普通に使える言葉になると思うのです。
 もしお子さんが「助けて」の合図を出したら、出した何十倍も、何百倍も「助けてほしいんだ」と気づける大人でいたいと思います。
 記念館でよい思い出をおつくり下さい。
 

 

 

                                      令和3年8月1日

                                      金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫

 

 


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