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矢崎節夫館長コラム 「雲」 2021年4月1日
雲
私は雲に
なりたいな。
ふわりふわりと
青空の
果から果を
みんなみて、
夜はお月さんと
鬼ごっこ。
それも飽きたら
雨になり
雷さんを
供につれ、
おうちの池へ
とびおりる。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
コロナ禍や花粉症で気が重くなる三月が終わり、いよいよ四月、記念館も十八年目に入りました。この間、本当にたくさんの来館者をお迎えできたことを、心からお礼申し上げます。
みすゞさんの『雲』を読むと、玄冬の季節が終って、わくわくした青春の到来を感じて、それぞれの中の幼い自分がかけだしたくなるような、うれしい気持ちになります。
ある出版社の『日本の文学者36人の肖像』の中に、森鷗外・島崎藤村・夏目漱石・与謝野晶子等と共に、みすゞさんも登場する時代になりました。これらは全てみすゞさんの作品を大切に思ってくださっている、みなさまのお陰と、心からお礼申し上げます。
記念館の感想ノートには、みすゞさんに出会った喜びがたくさん書かれていて、館員一同、いい記念館にいられることの倖せを深く気づかせてもいただいております。どうぞこれからも記念館をよろしくお願いいたします。
令和3年4月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫