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矢崎節夫館長コラム 「夢売り」 2021年1月1日
夢売り
年のはじめに
夢売りは、
よい初夢を
売りにくる。
たからの船に
山のよう、
よい初夢を
積んでくる。
そしてやさしい
夢売りは、
夢の買えない
うら町の、
さびしい子等の
ところへも、
だまって夢を
おいてゆく。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
新年あけましておめでとうございます。
新しい一年を迎えると、今年こそと思えて元気がでます。それはきっと、昨年のことは昨年で終わりと、新たな気持ちで前を向くことが出来るからでしょう。
部屋の新しいカレンダーを見るだけでも、まだ出会っていない明日が、数字と曜日でずらっと続いているのを見ると、なんだかさきがあるような気がしてうれしくなります。
思いがけないことが続いて、心もからだもちぢみがちな昨年でしたが、同じ状況の中でも、今年が少しでもいい年になるように、医療関係者や保健所の方々、今、病床で苦しんでいる人や、日本中の誰にもみんな、夢売りさんがよい初夢をとどけてくれることを心から願っています。
「みすゞさんの詩は長い長いトンネルの中の一筋の光明です」とおハガキをいただきました。この言葉を胸に、館員一同、しっかりとお迎え出来る一年にしたいと思います。
令和3年1月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫