本文
矢崎節夫館長コラム 「さよなら」 2020年12月1日
さよなら
降りる子は海に、
乗る子は山に。
船はさんばしに、
さんばしは船に。
鐘の音は鐘に、
けむりは町に。
町は昼間に、
夕日は空に。
私もしましょ、
さよならしましょ。
きょうの私に
さよならしましょ。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
12月になると、「えっ、もう12月」と毎年1年が過ぎる早さに驚きます。もちろん分子の1は変わらなくても、分母の方の年令は毎年一つずつ増えているのですから当然ですが、今年はコロナ禍の中で、日常がつかみづらいという事が大きいでしょう。
みすゞさんは「さよなら」の中で、“私もしましょ、/さよならしましょ。//きょうの私に/さよならしましょ。“と歌っていて、本当にそうだなあと、ほっとします。
1年の終わりと思うと、ずしっと肩に重さがかかりますが、毎日が“きょうの私に/さよならしましょ。”と考えると、少し楽になりますね。
12月は忙しい月です。心が亡くなることのないように、忙しい時こそ、まわりの大切な人や事に、心を向けるよう意識したいですね。
寒さで心もからだもかたまりがちな時こそ、是非金子みすゞ記念館におでかけください。
館員一同、心よりお待ちしています。
令和2年12月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫