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矢崎節夫館長コラム 「ながい夢」 2020年11月1日
ながい夢
きょうも、きのうも、みんな夢、
去年、一昨年、みんな夢。
ひょいとおめめがさめたなら、
かわい、二つの赤ちゃんで、
おっ母ちゃんのお乳をさがしてる。
もしもそうなら、そうしたら、
それこそ、どんなにうれしかろ。
ながいこの夢、おぼえてて、
こんどこそ、いい子になりたいな。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
みなさんおかわりありませんか。
気がつけばもう11月、なんだか心がざわつく気持ちになりますが、こんな時こそみすゞさんですね。
みすゞさんの「ながい夢」を読むと、かわいいなと思うと共に、ほっとします。それはきっと、いい子のみすゞさんだってやっぱり“こんどこそ、いい子になりたいな。”と歌ってくれているからでしょう。
以前、お寺の掲示版に「これからが/これまでを/きめる」と書いてあって、これからの方が圧倒的に短い私は、背筋がぴんとなって、“こんどこそ、いい子になりたいな。”と強く思いました。
“こんどこそ、いい子になりたいな。”は、不安で心がきゅっとちぢみがちな今、心をぱっと開放してくれる魔法の言葉です!
寒さがきびしくなってきます。心とからだが暖かくなるみすゞさんに会いに、どうぞ記念館においで下さい。一同お待ちしています。
令和2年11月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫