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矢崎節夫館長コラム 「空の色」 2020年9月1日
空の色
海は、海は、なぜ青い。
それはお空が映るから。
空のくもっているときは、
海もくもってみえるもの。
夕焼、夕焼、なぜあかい。
それは夕日があかいから。
だけどお昼のお日さまは、
青かないのに、なぜ青い。
空は、空は、なぜ青い。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
猛暑の八月が終りましたが、みなさんおかわりありませんか。
みすゞさんは『空の色』の中で、“空は、空は、なぜ青い。”と歌っています。
みすゞさんの「なぜ」は、その原因や理由を考える、自分に向けての言葉ですが、今年のように非日常の生活を続けなければならなくなると、心身共に疲れて、ついこの「なぜ」をまわりの人に使いがちになります。「なぜ出来ないの」「なぜわからないの」と。
こんな時、みすゞさんなら「なぜ」ではなく、「どうしたら」に変えるような気がします。「どうしたら出来るかな」「どうしたらわかるかな」と、相手側に立って言葉を使ったでしょう。
言葉は、その人の心柄が見えるものです。
どうぞこの機会に、もう一度みすゞさんの詩集をひらいて、ご自分の中のみすゞさんに出合って下さるとうれしいです。
館員一同元気でご来館をお待ちしています。
令和2年9月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫