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矢崎節夫館長コラム 「しけだま」 2020年7月1日

ページID:0031664 更新日:2020年7月1日更新 印刷用ページを表示する

しけだま

 

 

夕焼のなかに、

しけだまが赤いよ。

しけだまの下では、

仔牛があそぶよ。

 

もういつからか、

あがったきりだよ。

誰もうわさも、

しなくなったよ。

 

夕焼のそらに、

しけだまは赤いよ。

いつか来る、

いつか来る時化を知らすよ。

 

 

註 しけだま――暴風雨警報

 

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 

 

 東日本大地震の時も、今回の新型コロナウィルスの広がりの中でも、必ず思い出すみすゞさんの作品があります。『しけだま』です。

゛もういつからか、/あがったきりだよ。″

 本当にその通りで、必ず大地震や恐ろしい感染症がおこることはわかっているのに、忘れがちなのが私たちです。

 今回のコロナウィルスは地球温暖化や熱帯雨林の伐採で、本来は人間を宿主にしないで存在していたものが、居場所がなくなって、人間を宿主にしたのでしょう。

 地球は人間だけのものだと慢心した結果です。でも、人間のすばらしさは、こんな状況の中でも成長できるということですね。

「コロナにうつらない、うつさない」

 今まで自分さえうつらなければと考えがちな私たちが、初めて他の人にうつさないということまで考えるようになったのです。

 自他一如の心がみんなの心に育ったとすれば、すごいことだと思います。

 

                                             令和2年7月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫


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