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矢崎節夫館長コラム 「お日さん、雨さん」 2019年5月1日
お日さん、雨さん
ほこりのついた
芝草を
雨さん洗って
くれました。
洗ってぬれた
芝草を
お日さんほして
くれました。
こうして私が
ねころんで
空をみるのに
よいように。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
「お日さん、雨さん」を読むと、なにかとってもうれしい気持ちになるのは、私は私一人で生きているのではなくて、宇宙全体に守られていることが感じられるからでしょう。
お日さん雨さんも、「こうして私が/ねころんで/空をみるのに/よいように。」してくれているなんて、なんと倖せなことでしょうか。
私たちのまわりにあるものは全て、私とつながっていると思うと、私という存在そのものが、本当にかけがえのない大事な存在だと気づかされます。
新しい環境で、緊張することの多かった4月を過ごした人に、ぴったりの詩ですね。
どうぞ声に出した後に、空を見上げて、大きく深呼吸して、大空を胸いっぱいにすい込んでください。きっとあなたが青空色にそまることでしょう。
令和になっても、ほっとできる記念館でありたいと館員一同、お待ちしています。
令和元年5月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫