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矢崎節夫館長コラム 「星とたんぽぽ」 2019年3月1日
星とたんぽぽ
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
”見えぬけれどもあるんだよ”とみすゞさんが歌った18年後、”大切なものは、目に見えないんだよ”と「星の王子さま」で、サン・テグジュペリ。
大切なまなざしは、時とところを越えて受けつがれています。
この”見えぬけれどもあるんだよ”のフレーズを冠した「甦った童謡同人誌展」今月、企画展示室で開催されています。
みすゞさんが童謡を投稿していた大正15年前後は、日本の童謡の全盛期でした。全国で150種類以上もの同人誌が誕生しました。
多くが手造りで、冊数も少なく、今ではほとんどが失われてしまいました。
幸いなことに、愛知県岡崎で若き日に童謡を創作していた大竹一三氏宅に、西條八十、野口雨情系の同人誌49種類、約100冊が遺されていて、今回、みなさまにご覧いただける機会ができました。
貴重な同人誌に逢いにおでかけください。
平成31年3月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫