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矢崎節夫館長コラム 「おさかな」 2019年2月1日
おさかな
海の魚はかわいそう。
お米は人につくられる、
牛は牧場で飼われてる、
鯉もお池で麩を貰う。
けれども海のおさかなは、
なんにも世話にならないし、
いたずら一つしないのに、
こうして私に食べられる。
ほんとに魚はかわいそう。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
「おさかな」を読むと、同じ山口県出身のまど・みちおさんの「やぎさん ゆうびん」を思い出します。
みすゞさんは、食べなければ生きられないことを、まっすぐに、痛みを持ってうたっていますが、まどさんはユーモラスにうたってくれています。
みすゞさんは「人のいやがることを一度もいわなかった」と大津高女の同級生の言葉が残っていますが、まどさんも相手のことを気づかう言葉を、いつも使われる方でした。
たとえば、久しぶりに会うとつい「元気だった」といってしまいがちですが、まどさんは「変わりなかった」といいます。「元気」と「変わりない」は同じようですが、答える人にとっては、「変わりない」の方がずっと幅があってうれしい気持ちになりますね。
寒さが厳しい二月です。
みなさんどうぞお変わりなくお過ごしくださいますように。よい二月を!
平成31年2月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫