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矢崎節夫館長コラム 「おさかな」 2019年2月1日

ページID:0025561 更新日:2019年2月1日更新 印刷用ページを表示する

おさかな

 

海の魚はかわいそう。

 

お米は人につくられる、

牛は牧場で飼われてる、

鯉もお池で麩を貰う。

 

けれども海のおさかなは、

なんにも世話にならないし、

いたずら一つしないのに、

こうして私に食べられる。

 

ほんとに魚はかわいそう。

 

     「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 「おさかな」を読むと、同じ山口県出身のまど・みちおさんの「やぎさん ゆうびん」を思い出します。

 みすゞさんは、食べなければ生きられないことを、まっすぐに、痛みを持ってうたっていますが、まどさんはユーモラスにうたってくれています。

 みすゞさんは「人のいやがることを一度もいわなかった」と大津高女の同級生の言葉が残っていますが、まどさんも相手のことを気づかう言葉を、いつも使われる方でした。

 たとえば、久しぶりに会うとつい「元気だった」といってしまいがちですが、まどさんは「変わりなかった」といいます。「元気」と「変わりない」は同じようですが、答える人にとっては、「変わりない」の方がずっと幅があってうれしい気持ちになりますね。

 寒さが厳しい二月です。

 みなさんどうぞお変わりなくお過ごしくださいますように。よい二月を!

 

 

平成31年2月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫


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