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矢崎節夫館長コラム 「打出の小槌」 2019年1月1日
打出の小槌
打出の小槌貰うたら
私は何を出しましょう。
羊羹、カステラ、甘納豆
姉さんとおんなじ腕時計。
まだまだそれよりまっ白な
唄の上手な鸚鵡を出して、
赤い帽子の小人を出して
毎日踊りを見ましょうか。
いいえ、それよりおはなしの
一寸法師がしたように
背丈を出して一ぺんに
大人になれたらうれしいな。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
新年明けましておめでとうございます。
一月は「打出の小槌」です。「美しい町」に載っていますから、みすゞさんが童謡を書き始めた頃の作品です。
”羊羹、カステラ、甘納豆/姉さんとおんなじ腕時計。””唄の上手な鸚鵡を出して、/赤い帽子の小人を出して”と声に出して読んでいると、明るくて、かわいいみすゞさんが目に見えるようで、ワクワクします。
仙崎は小さな漁師町ですが、当時は大津郡の銀座といわれ、金子家は書店をしていたので、この地域では新しい文化が一番初めに集まる場所でした。また、大正十四年に始まったラジオ放送を聴くために、兄の堅助さんは大阪まで行って鉱石ラジオを手に入れたそうです。
金子家の人たちは、どんなことにでも興味がわく、柔かい心の持ち主だったのでしょう。
金子みすゞ記念館は、金子家の場所に建っています。どうぞおでかけください。
館員一同、心よりお待ちしています。
平成31年1月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫