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矢崎節夫館長コラム 「みえない星」 30年6月1日
みえない星
空のおくには何がある。
空のおくには星がある。
星のおくには何がある。
星のおくにも星がある。
眼には見えない星がある。
みえない星はなんの星。
お供の多い王様の、
ひとりの好きなたましいと、
みんなに見られた踊り子の、
かくれていたいたましいと。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
記念館では今年も、つばめが子育てをしています。縁起の良いつばめといわれます。みなさんにもご利益がありますように。
今月は「みえない星」です。
”星のおくにも星がある。/眼には見えない星がある。”とうたっていて、その星は”ひとりの好きなたましいと、/かくれていたいたましいと。”なのです。
王様はたくさんの家来がいていいな、踊り子はみんなに見られていいなという、一方的な見方を完全にひっくり返してくれます。
目に見えない部分にきちんと佇む、みすゞさんは本当にすごいと思います。
人は誰でも「目に見える部分と目に見えない部分」を持っています。つい見える部分で人を判断してしまいがちですが、見えない部分の方が大切なことがいっぱいあります。
自分のまわりにいる人の「目には見えない部分にきちんと向かい合う」ことを意識して、毎日を過ごしたいと思います。
平成30年6月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫