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矢崎節夫館長コラム 「雪に」 29年12月1日
雪に
海にふる雪は、海になる。
街にふる雪は、泥になる。
山にふる雪は、雪でいる。
空にまだいる雪、
どォれがお好き。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
みすゞさんは一つのことを見ると、二つにも、三つにも広げて考えることが出来てすごいなぁといつも感心します。
雪は海にふるか、街にふるか、山にふるかは雪自身には選べないのです。それを“空にまだいる雪、/どォれがお好き。”と軽やかに受け止めているところがすごいです。
私たち人間も雪と同じです。生まれる場所も時も、自分では選べないのです。選べないということは、その場所こそが自分の場所だということでしょう。あとは、嬉しいことを見つけやすい自分でいるかどうかです。
以前、桂米丸師匠の「年を重ねて遠視になるのは、自分の近くにいる家族や社会のために充分役に立ったのだから、そろそろ遠くの方にまなざしを向けなさいという神さまからの贈り物です」という話をききました。
年を重ねることは嬉しいことなのですね。
今年もあとわずか、みなさんどうぞよい年越しをお迎えくださいますように。
平成29年12月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫