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矢崎節夫館長コラム 「昼と夜」 29年7月1日
昼と夜
昼のあとは
夜よ、
夜のあとは
昼よ。
どこに居たら
見えよ。
長い長い
縄が、
その端と
端が。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
昼と夜、本当にどこに居たら見えるのでしょうか、その端と端が。
端と端というと、一本の長い縄のように思えますが、きっと端と端はくっついていて輪になっているのでしょう。だから、ここからが昼、ここからが夜と厳密には区別がつかないというのが本当でしょう。
区別がつかないといえば、以前読んだ柳澤桂子さんの『生と死がつくるもの』の中に、「視覚を持たない異星人が、地球を元素探知機で調べると、地球上の全ての生物は炭素、酸素、水素、窒素の混合体で区別がつかないというのが、地球の生物の正しい姿です」
と書いてありました。
いのちは器に応じてかたちになっているだけで、その優劣はないものですね。
全ての存在は40億年のいのちを、今、その姿で生きているだけだと思えると、全てが愛おしくなります。地球は人間ファーストではないことを深く心に留めたいですね。
平成29年7月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫