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矢崎節夫館長コラム 「星とたんぽぽ」 28年11月1日
星とたんぽぽ
青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
散ってすがれたたんぽぽの、
瓦のすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局
北海道美暎町の「美空」天文台で、久しぶりに昼の星に逢いました。
「ちょうど今、ベガが見えます」と、口径40センチの大きい反射望遠鏡をのぞかせてくださったのは、佐治晴夫先生です。
佐治先生は以前も、玉川大学で昼の星を見せてくださったのですが、その時は青空にぽつんと静かに、銀色に輝いていました。今回は口径が大きいので、生きてでもいるように、ベガがゆらゆらと大きくゆらいで見えました。「一つの星を見るということは、星もあなたを見るということです」と、佐治先生はおっしゃいます。
と、いうことは、夜の空を見上げる時も、一つの星を見るということは、星も私を見るということなのです。楽しいですね。
星空が美しくなる季節、あなたを見てる星を見つけてください。そして昼でも、「見えぬけれどもあるんだよ」と口ずさんで、青空も見上げてくださると、うれしいです。
平成28年11月1日
金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫