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矢崎節夫館長コラム 「花のお使い」 28年9月1日

ページID:0015921 更新日:2016年9月1日更新 印刷用ページを表示する

花のお使い

 

白菊、黄菊、

雪のような白い菊。

月のような、黄菊。

 

たあれも、誰も、みてる、

私と、花を。

  (菊は、きィれい、

  私は菊を持ってる、

  だから、私はきィれい。)

 

叔母さん家は遠いけど、

秋で、日和で、いいな。

花のお使い、いいな。

 

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 朝夕にふと秋隣を感じられるようになりましたが、日中はまだ暑い日が続きます。

 みなさんおかわりありませんか。

 『花のお使い』の中で、みすゞさんはかわいい三段論法を使っています。三段論法とは二つの条件があって、結論が生まれる議論法で、大津高女の授業で習ったのでしょう。

 (菊は、きィれい、/私は菊を持ってる、/だから、私はきィれい。)

 「菊はきれい」という条件と、「私は菊を持っている」という条件があって、「だから、私はきれい」という結論が生まれたのです。

 みすゞさんはこの詩を書く時、声に出して書いたのです。だから、「きれい」ではなく、「きィれい」となっているのですね。

 「秋で、日和で、いいな。/花のお使い、いいな。」

 野の花一輪でもいいので、花のお使いしてみませんか。だから、私はきィれいと、自分で自分をたくさんほめてあげてください。

平成28年9月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫


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