○長門市新型コロナウイルス感染症の患者等の人権の擁護に関する条例
(令和2年10月5日条例第27号)
改正
令和3年3月18日条例第14号
(前文) 
 全国的に新型コロナウイルス感染症の終息が見えない中、未知のウイルスに不安や恐れを感じ、ウイルス感染に関わる人や対象を日常生活から遠ざけたり、差別するなど、人と人との信頼関係や社会とのつながりが薄れ、我々の生活に大きな影響を及ぼしています。
 こうした中、医療従事者をはじめとした新型コロナウイルス感染症の治療等に携わる方々、生活物資の輸送など社会機能の維持に携わる方々やその家族に対する不当な差別的扱いや、感染した方やその家族、その属する施設・機関又は海外から帰国された方や外国人の方等に対する誤解や偏見に基づく誹謗中傷等が、インターネットやソーシャル・ネットワーク・サービスを中心に拡大しているという悲しい事例も報告されています。
 長門市としては、こうした行為を「決してあってはならないもの」「許されないもの」という考えに立ち、市民、事業者及び市が一丸となり、それぞれの立場でできることを行い、人権が尊重された心豊かな地域社会の実現に向けた取組を進めるために本条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の患者等の人権を擁護するため、市、市民及び事業者の責務を明らかにすることにより、感染症に関連した人権の侵害を未然に防止するとともに、人権の侵害に対して適切な対応を行い、もって人権が尊重された心豊かな地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 新型コロナウイルス感染症 病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に、中華人民共和国から世界保健機構に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。
(2) 市民 本市に居住し、通勤し、通学し、又は滞在する者をいう。
(3) 事業者 市内において、営利を目的とする事業を行う個人若しくは法人又は市民活動を組織的かつ継続的に行うことを主な目的とする団体をいう。
(4) 感染症の患者等 アからウまでに掲げる者をいう。
ア 感染症の患者、感染症にかかっているおそれのある者、感染症から治癒した者、感染症の患者と接触した者(その者が属する事業者を含む。)及びその家族
イ 医療機関をはじめ、職務上、感染する可能性が高い事業所で勤務している者(その施設・機関を含む。)及びその家族
ウ 海外から帰国した者、訪日外国人、帰省者及びその家族
(基本理念)
第3条 何人も、感染症の患者等の人権を最大限に尊重し、感染していること、感染しているおそれがあること又は感染していたこと等を理由として、不当な差別、偏見、誹謗中傷などの人権の侵害をしてはならない。
(市の責務)
第4条 市は、条例の理念を達成するため、国及び他の地方公共団体と連携し、感染症に関する情報の収集及び整理に努めるものとする。
2 市は、教育活動、広報活動等を通じて、感染症に関する正しい知識の普及啓発及び発信に努めるものとする。
3 市は、感染症の患者等の相談に応じ、必要な情報の提供や助言等の支援を行うための窓口を設置するものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、第3条に掲げる基本理念を理解し、市等が発信する情報をもとに感染症に関する正しい知識を持ち、感染症の患者等の人権を侵害することのないよう十分に配慮しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、第3条に掲げる基本理念を理解し、市等が発信する情報をもとに感染症に関する正しい知識を持ち、従業員教育を進めるとともに、事業活動を行うに当たっては、感染症の患者等の人権を侵害することのないよう十分に配慮しなければならない。
(その他)
第7条 この条例で定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。
附 則(令和3年3月18日条例第14号)
この条例は、公布の日から施行する。