香月泰男ジュニア大賞絵画展は、平成22年度で第13回を迎えます。
私は、4年前から審査をさせていただいていますが、小学生の低学年、高学年、そして、中学生の対象への視点、描く意識に少しの違いがありますが、いずれの作品も伸びやかに絵を楽しんでいて目をみはりました。ひとりひとりの個性があらわれユニークな魅力にあふれています。絵は理屈でなく夢中になることが喜びだと思っています。
今回は「建物を描こう」がテーマでした。花や動物や虫たちに比べると少し難しかったのでしょうか、慣れ親しんでいる生活の中に風景があります。わが家、会社のビル、お店、学校、寺や神社、大きな橋もあるでしょう。そんな建物をどのように描かれるのか、ワクワクしながら審査をさせていただきました。
799点の応募の中から、大賞二点、他の賞もあわせて100点が入選されました。選にもれた作品もそれほどの差があったわけではありません。臆せず次回展も描いていただきたいと思います。一途に心をこめて描くとレベルアップします。情熱をこめて描くことが大切です。
ここで、診査評をさせていただきますが、テーマ性から中学生の作品に佳作が多かったように思いました。
大賞、大倉匠人(おおくら たくと)君の「さようなら、歌舞伎座!」小学二年の作品は、仮設に作られた歌舞伎座が華やかな公演もおわり、クレーンやバックホウに乗って解体作業をする人、屋根に乗る人、いずれの人物も黒
の線で描かれリズミカルです。寝殿風の門の黒とグレーを厚く塗り、紋の入った幕も歌舞伎座の雰囲気がよくでています。画題のさようならに哀感が託され心に残りました。
二人目の大賞を受賞されました、末永実花(すえなが みか)さんの「夜のコンビニ」中学三年、の作品は、しっかりしたデッサン力をそなえています。夜のコンビニの雰囲気に透明感があり、店内から漏れる光りが、停めてある車を照らし、静寂の中に温かみを感じさせます。象徴性にも似た空間は末永さんの美意識の高さを示しています。黒い空に白い月が美しく澄み、町の紅
い灯も画面に効果を与えています。
次に、金賞、古賀正樹(こが まさき)君に「夕方の天満屋」中学二点、の作品は、画題に夕方と付けてあるように、店内の買い物客のにぎわいを想像させてくれます。建物を縦長にデフォルメした構図も面白い。イラスト的な表現ながら実景をよく観察し、いくつもある窓の書き方もリズミカルでいい。黒い前の道、白い歩道もきいている。何より色彩の豊かさに古賀君の喜びが伝わってくる。
同じく、金賞を受賞された、桑原怜育(くわはら れい)君の「未来のわが家」中学二年、の作品は、画題にあるよう、未来のわが家に、桑原君の心情が託され情感あふれる作品になりました。穏やかでさわやかな風を感じます。ちょっとのぞくと白い雲と青い空、なびくカーテン、窓と色タイルの調和もいい。夢と心が一つにあらわれ秀作になりました。
銅賞を受賞された、古江柊吾(ふるえ しゅうご)君の「香月美術館」小学三年、の作品も印象に残っています。初夏の香月美術館を描いていますが、白い雲がいくつも浮かび、緑の山を背景に美術館が黒いクレパスで美しく描かれています。なんでもないようだけど、見る人におだやかさを与えてくれます。きっと、永遠の平和を祈った香月先生のメッセージが、古江君のlこころに伝わったのだと思いました。
最後になりましたが、絵は心をこめて楽しくのびのび楽しく描くことだと思います。そして、人と自然がやさしく受け継がれることを皆さんと祈りたいと思います。
2010年10月24日
香月泰男ジュニア大賞絵画展
審査委員長 竹内 浩一
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