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矢崎節夫館長コラム 「花屋の爺さん」 28年10月1日

<外部リンク> 印刷用ページを表示する 掲載日:2016年10月1日更新

花屋の爺さん

 

花屋の爺さん

花売りに、

お花は町でみな売れた。

 

花屋の爺さん

さびしいな、

育てたお花がみな売れた。

 

花屋の爺さん

日が暮れりゃ、

ぽっつり一人で小舎のなか。

 

花屋の爺さん

夢にみる、

売ったお花のしやわせを。

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 『花屋の爺さん』を読むと、ほっこりとあたたかい気持ちになります。

 花屋の爺さんの夢に見る花のしあわせとは、花だけのしあわせではありません。花を買った人が、または、花を見た人がしあわせになってくれないと、花のしあわせはありませんね。

 このしあわせは、人偏のついた「倖せ」、しあわせのこだまし合いです。

 アメリカのチン・ミュージック・プレスから、みすゞさんのオリジナル絵本『ARE YOU AN ECHO?(こだまでしょうか)』が出版されました。前半は私が『大漁』に出合い、三冊の手帳に辿り着き、弟の雅輔さんから知ったみすゞの生涯、更に東日本大震災に時に、『こだまでしょうか』が日本中を励ましたことなど、英語圏の子どもたちに是非伝えたいと願ったデイヴィッド・ジエコブソンさんの文章で、紹介されています。後半は日系カナダ人のサリー・イトウさんとおばの坪井美智子さんの訳した詩で構成され、挿絵は画家の羽尻利門さんによる一冊です。

 この本の中でデイヴィッドさんは、「みすゞさんの詩が広く人々の心に広がった、そのヒントがここにある」として、『花屋の爺さん』を載せています。

 みすゞさんの「倖せ」が、世界の人々に広がっていくといいですね。

  ※絵本はJULA出版局で求められます。

 

平成28年10月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫