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矢崎節夫館長コラム 「私の髪の」 28年6月1日

ページID:0015083 更新日:2016年6月1日更新 印刷用ページを表示する

私の髪の

 

私の髪の光るのは、

いつも母さま、撫でるから。

 

私のお鼻の低いのは、

いつも私が鳴らすから。

 

私のエプロンの白いのは、

いつも母さま、洗うから。

 

私のお色の黒いのは、

私が煎豆たべるから。

 

「金子みすゞ童謡全集」JULA出版局

 

 みすゞさんの『私の髪の』を読むと、心がほっかりします。

 「私のお鼻が低いのは、/いつも私が鳴らすから。」「私のお色の黒いのは、/私が煎豆たべるから。」

 本当は、「お父さんに似てるから」とか、「お母さんに似てるから」と、自分の両親のせいにしがちなのに、みすゞさんは楽しく歌っているからです。

 欠点をいわれたり、いやなことがあったり、なかなか自分のことを分かってもらえなかったりで、ついすべてをどんと受け取って、落ち込んだり、不満をぶつけたりしがちですが、みすゞさんはどんと受け取らずに、すうっと受け流して、その上で、自分らしい答えを足して、楽しい方向に向けることが出来た、生き方の名人なのかもしれませんね。

 うれしいことはみんなで、そうでないことはすうっと流して楽しいことに変えられる、そんなことの出来る人になりたいですね。

 

平成28年6月1日

金子みすゞ記念館 館長 矢崎 節夫


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